母親の現実:映画ヘルプ~心がつなぐストーリー~
2020/03/26
映画:ヘルプ ~心がつなぐストーリー~を観ました。
◆内容紹介
世界を変えるきっかけは、家政婦たち(ヘルプ)の勇気と1冊の本、 そして、トイレ…?!
1960年代のアメリカ南部。大学から故郷に戻った作家志望のスキーターは、“ヘルプ”と呼ばれる黒人メイドを差別する白人上流社会に疑問を抱き、メイドのエイビリーンに取材を申し込む。初めは頑なに断るが、親友のメイド、ミニーを巡るある事件をきっかけに、重い口を開きはじめるエイビリーン。社会からの報復を恐れながらもスキーターの執筆に協力する彼女たちの“心の声”は、やがて一冊の本となり世の中に驚くべき変革をもたらすことに―。
※amazonより
この作品で私が心打たれたこと・・それは“差別の社会問題”よりも“母親(家事、子育て)の現実”です。
母親の逃げ場がメイドだった・・
この映画の中では
白人=上流社会の母親(雇い主)
黒人=家事育児代行のメイド(雇われ主)
という設定で差別が行われていく様が描かれています。
でも私はこの“差別の行為”は、人種という理由だけではなく、“母親が差別という武器を使って自分が逃げる選択をしていた”気がします。
日本ではあまり家事代行やメイド文化が進んでいないので、この母親が抱える家事育児を投げ出したい“行き場のない想い”をただ抱えるか、事件性までに及ぶ放棄しか選択がありません。
しかし、この映画に出てくる上流階級の白人にはその“逃げ場”が黒人メイドだった気がします。
間違た逃げ場・・
最近離婚が決まったアラサーの友人が自身近況について語ってくれました。
結婚、出産、育児・・私には本当に苦しいものだったと思う日々・・。
毎日“誰か少しでも良いから私の代わりにやってほしい!!”とばかり思って、その期待に応えてくれない周囲を嫌悪してた。
それを理解しようと旦那が歩み寄ってくれた時には、嬉しくて・・。
最初は少し母親業から離れ・・仕事も少しずつ時間を増やし・・自分の時間を取り戻すとそれが楽になってどんどん自分は子どもから離れて行ってた。
そして離婚を決意した時、親権を放棄しようとするくらい、子どもを可愛いと思えなかったったし、子どもも私から離れて行ってた。
それでも“自分の自由の方が大事”と思ってた。
と。
逃げ場を間違えると、母親としての機能を簡単に放棄したくなるのかもしれません。
映画の中で白人の母親が子どもの面倒なことを全部黒人メイドに押し付け、良い子にしている状態だけを要求するシーンがあります。どんどん白人の母親は“自分の事だけ”に意識を集中させていきます。
これは差別関係なく、逃げ場を間違えるとこうなるんだなという事を教えてくれた気がします。
ちゃんと向き合う時・・
この友人は離婚調停をきっかけに“自分1人で育てる覚悟をして、子どもと本気で24時間向き合ってみよう”と思いました。
そこで彼女は更にこう語っていました。
今まで、遊ぶのは父親の役割・・と思っていたことも自分でやってみて、自分も会社であったことを子ども達に話してみた。
そしたら、あっという間に色んなことができるようになっていて、会話も意外とちゃんとできるし、回答が面白くて気づけば元気をもらってるんだよね。
本気で子どもの将来を考えるようになってから、もっと働くことを考えると、実家の親と未婚の姉に話をしたら実家をリフォームすることになって・・。
実家の親とも未婚の姉とも仲が悪かったから一緒に住むのに抵抗があったけど、とりあえず住んでみたら、すごく家に活気が戻ってきてさ。
実家の両親はいつ熟年離婚するかと思っていたのに、子どもたちの世話を一緒にすることで、子どもたちの前で喧嘩ができないからなんとなくうまく行っている雰囲気になってきたし、家事もそれ以上してくれなくて良いほどのクオリティでやってくれる。
一緒に住んでいないと卑屈になっていた未婚の姉も、一緒に住むことで自分の子どものように遊んでくれるようになった。
私ももちろんそんな家族に感謝するようになったし、子どもと居れる時間を少しでも多く持てるようになろうと思った。
と。
本当のメイドの意味
この映画の中で、ものすごく素敵なエンドを迎える白人夫婦と黒人メイドがいます。
その人たちの共通点は“人としてどうか関わると自分たちが豊かに暮らせるか”を知っている事だと思います。
自分と向き合い、その延長線上に関わる人とちゃんと人として向き合うこと・・それができる人こそが“メイド”という存在をお願いしないとせっかくの幸せが方向違いのことになってしまうのかもしれません。
映画を創った方の意図には反している可能性の高い私の感想・・以上です。
家事代行を大きく叫びたくなる私には見る必要があった映画だったのかもしれません。そんな働くアラサー女性の方におススメの映画です。
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